漢籍の読み方 1.書き下し文とは何か?
今回から何回かに分けて、漢籍の読み方や、読む時の注意点について書いていきます。
「論語とか読みたいけど難しいからなぁ~」と思っている人や、「孫子とかどうせ難しいんでしょ」とあきらめている人から、もちろん、「オレは漢文バリバリじゃ」という人でも、「あっ!そうゆうことだったんだ~」と何か発見のあるような記事にしようと思っております。めんどくさがらず是非ともご一読ください。
今回は漢籍特有の書き下し文についての説明です。
1.書き下し文とは何か
そもそも、書き下し文、または読み下し文とは、白文を日本語風に並べ替えた文章のことです。
1-1.白文
まず、白文とは「己所不欲勿施於人」のように、漢字ばかり並べた文章のことです。
書かれたままの状態で、漢籍で言うならば原典です。
しかし、これでは日本語にはほど遠く、中国語が分かる人にしか読めません。
1-2.書き下し文
そこで、これを日本語風にしたのが、書き下し文、または読み下し文です。
今回の例ですと、「己の欲せざる所、人に施すことなかれ」となります。
漢字の順番を並べ替えて、送り仮名などを補い、必要に応じて漢字を仮名にします。
また、二つの漢字「不」と「勿」が無くなっていることに気が付かれたかと思います。これは、書き下し文の決まりで、助詞や助動詞に当たる漢字は、基本的に「ひらがな」とするからです。こうすれば、だいぶ日本語らしいですね。
1-3.現代語訳、または翻訳
とはいえ、これでもまだ日本語とは言えません。なぜなら、今、自分のことを「己(おのれ)」と言ったり、「~~することなかれ」と言ったりする人はいないからです。
だから、これを今の日本語に翻訳すると、「自分がしてほしくないと思うことは、人に対してもしてはならない」となります。
これならば、ほとんどの人が意味がわかりますね。
1-4.まとめ (英語と比較して)
このように、漢籍では、他の外国語の翻訳と違い、原典と翻訳との間に、「書き下し文」というものがあります。
また書き下し文とは、英語で例えるならば、「This is a pen. 」を「This a pen is.」としたようなものです。このため、書き下し文が読めないことは、日本人にとって当然のことでもあるのです。
ただ、英語の場合と違って、単語は日本でも使っている漢字です。このため、書き下し文でもなんとなく意味が分かるのです。
次の記事では、なぜ書き下し文があるのかを、日本の歴史を紐解くことで解説します。
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今はこの記事⇒漢籍の読み方 1.書き下し文とは何か? - 平田 圭吾のページ
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