『憎しみを乗り越えて』の紹介
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『憎しみを乗り越えて』の概要
人を許したいと思うとき、自分の憎しみの気持ちをなんとかしたいと思うとき、最初にあなたが何に怒っているのかしっかり考えてみましょう。そして、次に、その人を理解してあげることです。そうすれば、大体の憎しみは解決します。
怒りや憎しみは人間関係の副産物
憎しみとは、お互いの利害関係や欲望・願望・こうなってほしいという気持ちが衝突したときに出る副産物です。
例えば、ビリヤードで玉と玉がぶつかるとき、必ず音が出ます。誰かと誰かの利害関係や欲望・願望・こうなってほしいという気持ちがぶつかるとき、そこには、憎しみが発生してしまうのです。だから、玉と玉がぶつからないように、話し合いと対話でお互いの進路を調整し、ぶつからないようにすればいいのです。
どうやって憎しみを回避するのか
では、どうすればそういったことができるのでしょうか。もしも、自分自身とその人を理解することができれば、調整もしやすくなるでしょう。
また、この物語の主人公であるクリトンやソクラテスのように、「重大な目標」のために自分だけが譲歩してあげることもできるかもしれません。できるのなら、それが一番いいのではないかと思います。
しかし、どんな手(不正をすること)を使ってでも自分の進路を押し通してくる人がいます。こういった人は、ごく稀にいます。
それに対処するのに、あなたが暴力や暴言、騙し討といったような不正を用いたとします。そういった場合、あなたは、その人と同じ「不正を行う人」になってしまうのです。
難しいことですが、そういったときは、この対話を思い出して、少しでも善と正義を愛する人に近付いてください。
第一章 クリトンの悩み(サンプル文)
ソクラテスは、自分を説得に来たクリトンを逆に説得すると、牢獄の隙間から漏れる朝日に目を細めて、なんとも清々しい表情をしていた。
クリトンがソクラテスに告げたように、そしてまた、ソクラテス自身も夢でお告げを得たように、ソクラテスは、間違いなく、明日か明後日の内に毒薬を飲んで、その生命を絶つのだ。七十歳とはいえ、死を目前に控えて、こんな清々しい表情ができる人が他に居るだろうか。
クリトンは、ソクラテスに生きながらえて欲しいと思いながらも、そのソクラテスの表情を見ると、自分もとても清々しい気持ちになれたのだった。
しかし、クリトンは、この清々しい朝日やソクラテスの表情とは対照的な、説得を試みようと家を飛び出した時のあの悶々とした気持ち、また、柔らかい布団で横になっても眠れなかった数々の夜のことを思い出した。
クリトンは、しばらくの間ソクラテスの表情を見ていたが、胸の中にどす黒い渦が巻き始めると、堰を切るようにして口を開いた。
クリトン「ソクラテス、君は実に素晴らしいよ。ぼくは、君が友人であったことを、ぼくが死ぬまで一番の誇りとするだろう」
ソクラテス「ありがとう、クリトン。ぼくも君が友人であったことを誇りにするよ。と言っても、ぼくは、すぐに死んでしまうんだけどね」
クリトン「ところで、ソクラテス、ぼくはまだひとつだけ納得できないことがあるんだ。というのも、昨日の夜に眠れなかったのは、君のことが心配だったこともあるけど、もう一つ、これから話すことがどうしても気になっていたからなんだ。
というか、気になっていたというよりは、このことは、ぼくの心を、まるで船を遮る逆風と高波のように、かき乱していた。きっと君なら、このぼくの心の嵐をなんとかしてくれると思う。この問いに答えてくれるかい?」
ソクラテス「もちろんさ、他でもない君の頼みだもの、なんでも言ってくれたまえ」
クリトン「ぼくは、君を死刑に追いやった奴らが憎いんだ。できることなら、今からでもそいつらを君と同じ処遇にしてやりたい。なのに、君はというと、ぼくがこんなにも憎しみに捉われているのに、全くそんな様子がないじゃないか。そればかりか、そんな清々しい表情までしている。まったく、君だからこそのことだと思うんだけど、それはなぜなんだい?ソクラテス」
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『憎しみを乗り越えて』の目次
はじめに(上記の文章と同じです)
対話篇について(読み慣れない「対話篇」ついての説明です)
この物語の舞台(本書の舞台背景です)
第一章 クリトンの悩み
第二章 憎しみの正体
第三章 憎しみを越えるもの
第四章 もうひとつの憎しみ
第五章 もうひとつの憎しみの在りか
第六章 悪を為す人の気持ち
第七章 山に登る準備
第八章 許すということ
あとがき
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