平田 圭吾のページ

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『曹操詩集』 却東西門行(風景)書き下し文

太字が書き下し文の違う所となっております。

このページを印刷し、自分なりの解釈を書き込んで読み比べるなどして楽しんでください。

電子書籍として販売中の曹操詩集の補助用記事です。こちらから曹操詩集をご購入の上、補助としてお楽しみください。 

 

 

東西門に却(かえ)るの行

 

 

鴻雁(こうがん)は塞(とりで)の北に出(い)、乃(すなわ)ち無人郷(さと)に在り

 

翅(はね)を挙げること萬余里(まんより)、行きて止(とど)まり自ずから成りて行く。

 

冬節には南稲(なんとう)を食い、春日には復(ま)た北に翔(と)ぶ。

 

田の中に有る転びたる蓬(よもぎ)風に隨(したが)いて遠く飄揚(ひょうよう)す。

 

長くする故根と絶(わか)れ、万歳に相い当たらず。

 

奈何(いかん)せん此(こ)の征(ゆ)く夫(おとこ)、安く四方を去ることを得る。

 

戎馬(じゅうば)は鞍(くら)を解かず、鎧甲(よろい)は傍(かたわ)らを離れず。

 

冉冉(ぜんぜん)として老は将(まさ)に至らんとするに、何れの時にか故郷に反らん。

 

神龍は深泉に蔵(かく)れ、猛獣は高岡を歩む。

 

狐(きつね)は死帰(しき)するに丘に首(むか)う、故郷安(いず)んぞ忘るべし。

 

 

なお、ここに紹介する『曹操言志』では、このような曹操人間性を垣間見ることのできる史書の記録を集めました。また、正史・史実の『三国志』に関する解説も織り交ぜてありますので、「正史や史実の三国志は初めて」という方にもお勧めです。