平田 圭吾のページ

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「乱源」派閥が公私混同に発展する時 兵法書『三略』より

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現在配信中の『三略』からその一部を紹介します。

 

《乱源》

 

◆書き下し文◆
軍識に曰く、吏(り)を群れして朋(とも)を党し、各(おのおの)親しき所に進み、姦枉(かんおう)を招き挙げ、仁賢を抑え挫(くじ)き、公に背きて私を立て、位の同じければ相い訕(そし)る。是を乱源と謂う。

 

◆現代語訳◆
 軍識にはこのようにある。役職ある者を集めて気の合う者同士で派閥を作り、各自が親しくしているところに進み、ずるくて性根の曲がった者を招き入れて推挙し、仁賢の人を押さえつけてその行く先を挫き、皆の利益に背いて私事を立て、位が同じであればお互いに謗り合う。このようなことを乱源(乱れの源)と言う。

 

◆解説◆
 現代の世の組織には、学閥、派閥などがあり、お互いに共通点のある者で組織内に組織のようなものを作るときがある。お互いに共通点のある者が親しむこと、それ自体は何も悪いことでなく、自然なことである。しかし、これはあくまでプライベートで行われるべきことであり、人事や職務に影響させてはならない。乱源とは公私混同のことである。

 

三略にはこのほかにも《必潰》《亡国》《盗端》《乱根》《国姦》《受害》《受敗》など、この《乱源》のように、組織を内側から壊すリスクについて的確に書かれた章が多くあります。ぜひとも一度全文をご覧になってください。

 

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