西郷隆盛『遺訓 現代語訳』より、「二〇、その人に成るの心がけ」
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二〇、その人に成るの心がけ
何程制度方法を論ずるとも、其(そ)の人に非(あら)ざれば行われ難(がた)し。人有りて後方法の行わるるものなれば、人は第一の宝にして、己(おのれ)其の人に成るの心懸(こころが)け肝要なり。
◆現代語訳◆
どれだけ、制度や方法を論じたとしても、その人でなければこれが行われることは難しい。人がいてこそ、その後にその方法も行われるのであるから、人こそが第一の宝であり、自分がその人になろうという心がけが肝要である。
◆解説◆
仕事をこなすには、それを議論するだけの知識、または地位があるだけでなく、これに見合った内実が必要なことを言っている。
いかに知識があって制度や方法に詳しい人がいたとしても、この人が、挨拶もできず、人に頭を下げて頼むこともできず、そもそも人から信用されないということならば、どんな善い制度や方法でも実現されることはない。
サッカーに例えるならば、フォーメーションや戦術には詳しい監督がいて、選手がこの監督の言うことを聞かないということである。この監督が、イメージ通りに選手に動いてもらえるよう努力することが、その人に成るという心がけである。
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