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武経七書全訳(魏武帝孫子三略六韜ほか、全七巻)

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電子書籍の読み方 1.電子書籍とは? - 平田 圭吾のページ

 

いろいろな本の紹介

ブログ内記事充実のために、近所の図書館で借りてきて読んだ本を紹介することにしました。

分野は多岐に渡りますが、小説は基本なしです。

本の中身をある程度要約して紹介しますので、読んでみたいという本が見つかるかもしれません。

また、新しい知識や価値観との出会いをお手伝いできればと思っております。

本の紹介記事 まとめ - 平田 圭吾のページ

 

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平田圭吾について

「こいつ何者だ」と思われる方もいらっしゃるかと思います。 人となりなどは、著作から読み取っていただければ幸いです。

また、簡単に経緯について記事にしました。

hiratakeigo.hatenablog.com

「乱源」派閥が公私混同に発展する時 兵法書『三略』より

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現在配信中の『三略』からその一部を紹介します。

 

《乱源》

 

◆書き下し文◆
軍識に曰く、吏(り)を群れして朋(とも)を党し、各(おのおの)親しき所に進み、姦枉(かんおう)を招き挙げ、仁賢を抑え挫(くじ)き、公に背きて私を立て、位の同じければ相い訕(そし)る。是を乱源と謂う。

 

◆現代語訳◆
 軍識にはこのようにある。役職ある者を集めて気の合う者同士で派閥を作り、各自が親しくしているところに進み、ずるくて性根の曲がった者を招き入れて推挙し、仁賢の人を押さえつけてその行く先を挫き、皆の利益に背いて私事を立て、位が同じであればお互いに謗り合う。このようなことを乱源(乱れの源)と言う。

 

◆解説◆
 現代の世の組織には、学閥、派閥などがあり、お互いに共通点のある者で組織内に組織のようなものを作るときがある。お互いに共通点のある者が親しむこと、それ自体は何も悪いことでなく、自然なことである。しかし、これはあくまでプライベートで行われるべきことであり、人事や職務に影響させてはならない。乱源とは公私混同のことである。

 

三略にはこのほかにも《必潰》《亡国》《盗端》《乱根》《国姦》《受害》《受敗》など、この《乱源》のように、組織を内側から壊すリスクについて的確に書かれた章が多くあります。ぜひとも一度全文をご覧になってください。

 

三略』の全訳をネット書店で購入する

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「近復朋来」あけましておめでとうございます

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あけましておめでとうございます。今年の抱負は「近復朋来」です。

 

写真の文字は、筆ペンで年賀状に書いたものをスキャンしたものです。最初は楷書で書いてみたのですが、全体の字形のバランスがうまくまとまらなかったので、少しくずしてみました。そしたら、自分でもびっくりするくらい「上手な人が書いた感じ」になり、笑ってしまいました。上手だと思ってくださった方には申し訳ないですが、まぐれでできた「上手詐欺」なのでご了承ください(;^_^A

 

さて、前置きはこのくらいにして、2020年を振り返ってみるに、去年は社会全体がコロナウィルスに振り回された年でした。コロナウィルス感染防止のため、学生さんは学校にも行けず、誰もが思い通りに出かけることもできず、飲食・観光業は大打撃を受けました。


そういえば、マスクの買い占め転売、トイレットペーパーの品切れなども起こりました。あとは正義の仮面をかぶった攻撃性のカタマリ、すなわち「自粛警察」も話題となりました。誰もが困っている時だからこそかもしれませんが、「自分だけは」という人間の悪い本性が目立った年だったとも言えます。

 

こうして振り返っていろいろ思い出してみても、あまりよいことは思いつかず、コロナウィルスに社会全体が振り回された、実に窮屈で不便でつまらない年でした。

 

ですので、今年は、コロナ禍から社会全体が「回復」して「復活」できる良い年になってほしい。そんな願いから、このとても縁起の良い漢字である「復」の字を今年の抱負に入れたいと思ったのです。 

そのような思いから、この「復」の字を入れ、漢字四文字でうまくまとまるように考えたのが、この「近復朋来」です。出典は『易経』ですが、その話は後にして、先に意味や読み方について説明します。

 

「近復朋来」の書き下し文は二つになります。

1.近く復して朋(とも)来る
2.近くして復(かえ)れば朋来る

 

1は前書きで書いたような願いを意味しています。意味はそんなに難しくないですし、ほとんどの方がそう思っている通り、「近いうちにコロナ禍から社会全体が回復して、今まで会えなかった同朋が来てくれる」という意味です。
また、「朋」は日本語の音読みでは「ホウ」ですので、「宝」という漢字も連想できますし、とても縁起の良い四字漢字と思います。いずれにせよ、抱負と言うよりは願いですね。ですので、2の読み方が本来の意味であり、抱負ということになります。

 

この本来の意味は、出典である『易経』と深く関係があるので、引用しながら説明していきます。


まずそもそも、易経において「復」は「地雷復」と言いまして、地中で雷(陽気)が動き始め、この陽気が影響を出し始める象です。割り当てられている記号は䷗です。¦が陽で|が陽ですので、まさに陽の復活であり、陰の場に陽が初めて復(かえ)ってきた、ということになります。ざっくりですが、「復」の意味は『易経』においてこのようなものです。

 

またここには、

「出入り疾(やまい)なく、朋来りて咎なし。」

「遠からずして復(かえ)る。悔いにいたることなし。元吉なり。」

とあります。

 

「朋来る」「遠からずして復る(近くして復る)」

この二ヵ所の組み合わせが「近復朋来」です。

 

ただ、「復を『かえる』って読むみたいだけど、どこに帰るの?戻るの?」という疑問も残ります。そもそも、「往復」という言葉が「往ってから戻ってくること」を意味しているように、復は「どかに行ってから」という前提があって、「戻ってくる、帰ってくる」ということなのです。「復活、回復」という言葉も、健康や通常があっていったん悪化してという前提があっての言葉です。

 

このようなことを気に留めて、わりと有名な論語の一節を見てみましょう。

「己に克ち礼に復るを仁と為す(克己復礼為仁)」

己の私欲を克服し、誰もが受け容れることのできる立ち居振る舞い、すなわち礼に復ることができるのならば、仁という最高の理想を体現できるだろう。という意味になります。

 

マスクやトイレットペーパーを必要以上に買い占め、ましてや高額で転売するなど、もちろん礼ではありません。風潮や権威を盾にして正義の仮面を被り、人のあら探しをしては攻撃し、結局の本心は憂さ晴らしなどということは、もちろん礼ではありません。法理の網をくぐり抜け、給付金を詐取し、あるいは不当に利益を得ることも、当然礼ではありません。

 

人には「自分さえ」という衝動から「復って踏むべき道」があるのです。その道に「復る」ことができれば、自分にはそれだけの人間としての魅力が備わるでしょうし、そうなれば、肩を並べて道を踏むことのできる「朋」も自然と集まることになるでしょう。

 

 すなわち「近復朋来」の抱負としての意味は、「人の踏むべき道に復り、朋が向こうから自然と来る(ような魅力的な人間になる)」ということになります。

 

この記事に共感していていただけた方は「我が朋」として、同じ言葉を胸に一年間過ごしていただければと思います。何も、密に連絡を取り、ベタベタするのが「朋」というわけではないでしょう。ということで、長くなりましたが本年もよろしくお願いします。