翻訳本 司馬法 少しずつ公開1 「はじめに」
例によって、電子書籍では前半の10%までサンプルとしてダウンロードできますので、その部分を公開します。
はじめに
この『司馬法』は、『兵法武経七書』として古くから日本でも親しまれております。徳川家康や織田信長をはじめとした戦国時代の英雄たちも、また、吉田松陰や坂本龍馬、西郷隆盛をはじめとした明治維新の英雄たちも、この『司馬法』に一度は目を通したことがあるでしょう。
また、三国志で有名な曹操の著書、『魏武帝註孫子』にもこの『司馬法』からの引用が多く、当時、この『司馬法』が非常に権威のある有名な書物であったことが伺えます。
現在、日本では、憲法九条と関連して、武力の是非に関することへの関心が高まっております。この中で、この『司馬法』を読むことは、非常に意義のあることと言ってよろしいでしょう。
というのも、この『司馬法』は、他の兵法書と違い、「なぜ戦争をするのか」というところから始まっているからです。兵法書でありながら「戦争の是非」「武力の是非」を問うこの姿勢は、『司馬法』独特のものと言えます。これは裏を返せば、二千年以上も前から、今と同じ議論がされているということでもあります。遠く昔の議論を振り返り、この永遠のテーマについて考えてみることは、決して無駄なことではありません。
後半からは、戦術に関する記述や組織論もあり、文字通り「兵法書」として、その名に違わぬ内容となっております。成立年代や書いてある内容から察するに、『孫子』の原型となったような記述も散見され、非常に興味深い内容となっております。
さて、この『司馬法』の著者は、紀元前500年ころに活躍したとされる司馬穰苴(じょうしょ)という人物です。本名は田穰苴(でんじょうしょ)ですが、軍務全般を司る大司馬という役職に任命されたことから、一般に司馬穰苴と呼ばれております。詳しくは、付録として、『史記』から司馬穰苴列伝を抜粋し、巻末に現代語訳を付しましたので、こちらをご参照ください。
また、『司馬法』の成立については異説も多いのですが、私なりの考えが関連年表とともに巻末に付してあります。こちらを参考にしていただければと思います。
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