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漢籍の読み方 5.でも書き下し文が読めない・・・

 前回までの記事で、書き下し文のことや、書き下し文の読み方はなんとなく分かって頂けたかと思います。 

 

5.でも書き下し文が読めない・・・

しかし、書き下し文のことを知っただけでは、書き下し文は読めません。前回までの記事を読んで、本を読んでみたけど、「でも書き下し文、全然読めないんですけど…」と思っていらっしゃる方もいらっしゃるでしょう。 

そこで今回は、「書き下し文のことが分かっているのに、どうして書き下し文が読めないのか?」ということについて説明します。

 

5-1.書き下し文のある本は古い

そもそも、書き下し文付きで出版されるような本は、「古典」です。古典とは、古い本のことです。例えば『論語』だと、孔子が生きていたのが、紀元前500年ころですから、今から2500年も前からあることになります。『孫子』の著者とされる孫武は、紀元前500年ころに生きていたとされていますから、こちらも同じく2500年前からある書物ということになります。

 

5-2.時代が違えば分からないこともある

2500年も前なら、人々の生活が今とぜんぜん違ったものであったのは当然ですね。つまり、当時は、自動車も、携帯電話も、暖房や冷房も、夜の照明も無かったのです。現代語訳では、補足などである程度、時代の違いがうまく反映されて翻訳されているのに対して、書き下し文では時代の違いがダイレクトに出てしまうのです。このために、書き下し文だと急に意味の分からなくなる単語や、理解不能な文章が出てきます。

 

5-3.時代が違うことを心に留めよう

ですから、書き下し文を読むときに、少しだけ時代が違うことを心に留めるといいでしょう。意味が分からなかった場合には、「昔はどうだったんだろう?」と少し想像してみるのです。そうすると、「ああ、そうか」と分かるときがあります。

 

しかし、これだけでは、書き下し文を読めるとは限りません。というのも、今使われているのとは違う意味の漢字があるからです。 

 次は、「董卓戻礼」という例文で、このことについて説明します。 

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