漢籍の読み方 4.書き下し文を読むのは脳トレ
この記事を読んでくださっている方は、書き下し文を読んでみようと思っていらっしゃる方かと思います。
そこで今回は、書き下し文の読み方について説明します。
そもそも書き下し文は、日本語でもなく、外国語でもなく、日本人にとって読めない文章であるが、読めなくなもない文章ということでした。
ということは、「読めると思えば読めなくなって面白くなくなる」し、「読めないと思えば読み飛ばしてしまう」ということになります。
これだと読まない要素しか残らないので、考え方を少し変えてみましょう。
4.書き下し文を読むのは脳トレ
一見して意味の分からない書き下し文でも、「あらかじめ書かれた意味が分かっている」のなら、「なんとか読める」のではないでしょうか。
4-1.英語でもなんとなく意味は分かる
例えば、ペンを指さされながら「This is a pen.」と言われたとしましょう。この場合に、英語のことを全く知らなかったとしても、「このペンのことを言っているんだな」ということは分かるはずです。
晩御飯を作っている時に、「I want to eat a salad.」と言われたとしましょう。この場合にも、なんとなく「サラダを食べたいんだろうな」と分かるはずです。
このように、外国語であっても、何を言いたいのかさえ判断できれば、だいたい意味は分かるのです。
ましてや、書き下し文には、普段から親しんでいる漢字が使われているのです。分からないはずがありません。
4-2.現代語訳で意味をつかんでおいてから書き下し文を読む
つまり、書き下し文の意味が分からなかったら、現代語訳や解説を読んで、だいたいの意味を掴んでおけばいいのです。そうすれば、前後の文脈や漢字から、そこに書かれていることもなんとか意味が分かるのです。
このように、現代語訳で意味を確認しながら、書き下し文を読むというのが、私のオススメする書き下し文の読み方です。
4-3.書き下し文を読むと作動記憶フル活用!
また、書き下し文を読むということは、実は立派な脳トレです。
というのも、最近、脳科学の分野で話題となっている作動記憶の訓練をしていることになるからです。ちなみに、作動記憶とは、一時的にものごとを記憶しておくことです。
そして、私が提示した書き下し文の読み方は、
「現代語訳をだいたい覚えておいて ⇒ 書き下し文を読んでみる」
ということでした。
⇒で脳トレが行われていることについて、誰も疑うことはないでしょう。
さらに言うなれば、作動記憶を使いながら、言葉をパズルのように組み合わせて、最終的に意味を理解するのですから、脳トレ要素はこれ以上ない満点とも言えますね。
4-4.書き下し文を読めば一石二鳥の読書ができる
こうして考えてみれば、書き下し文を読むということは、古典の智恵に触れながら脳トレをするという一石二鳥のことなのです。
書き下し文を読むことが、いいことづくめだとは分かっていただけたと思いますが、書き下し文を読むことには、まだ問題があります。次回はそのことについて説明します。
漢籍の読み方 1.書き下し文とは何か? - 平田 圭吾のページ
漢籍の読み方 2.なぜ書き下し文があるのか - 平田 圭吾のページ
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