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漢籍の読み方 6.漢和辞典を使おう「董卓戻礼」

漢籍には現代とは違った意味で使われていた漢字があります。また、当然ですが、現在では使われていない漢字も使われています。

書き下し文で、意味の分からない文章や、意味の分からない言葉が出てきた時は、漢和辞典を使いましょう。間違っても国語辞典を使ってはなりません。

 

6.漢和辞典を使おう 

 そのいい例を次の白文で説明します。

 

董卓戻礼」

 

6-1.「董卓戻礼」は漢文で読むと意味は間違っていない

このような白文があった場合、多くの人は(ー_ー;)?となることでしょう。というのも、三国志で洛陽を焼き払った董卓は悪人のまま死んだわけで、董卓は礼に戻る」と、董卓が礼儀正しい人間になったということは考えにくいからです。
そこで、「戻る」を国語辞典で調べてみますと、確かに、「もといた場所に帰ること」といった意味が書かれています。普通に考えればこうなのです。
しかし、実は漢文の世界では、この「董卓戻礼」という言葉も、とても納得できるものなのです。

 

6-2.漢和辞典だと「戻」の意味が違う

 というのも、「戻」は、「もとる」と読んで、「道理に反すること」という意味で使われていたからです。ですから、この白文を翻訳しますと、董卓は礼に反していた」となり、何も不自然な文章ではないのです。


このように、今の日本語と当時の漢字の意味では、違った意味を持ったものがあります。だから、漢文を読むときは、漢和辞典を使わなければなりません。

 

とはいえ、親切な翻訳本ですと、細かく註釈がありますから、これを頼りにするのが良いでしょう。もちろん、現代語訳と対照しながら読むのも、良い方法です。

 

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