平田 圭吾のページ

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はじめての政治哲学――「正しさ」をめぐる23の問い (講談社現代新書) を途中まで読んで

読む価値はあるのか

一言で言うと政治思想の図鑑。

「物知りになったような気になりたい人」あるいは「既に政治思想にかなり詳しく別の思想家にも手を付けてみようかなと思っている人」は読む価値があるかもしれない。

ちなみに、私は、半分くらいで読むのがつらくなり、投げ出してしまった。 

 

本の内容

一応この本では、1.自由・2.民主主義・3.差異と平等・4.共同体・5.対立、のそれぞれをめぐる論争という五章構成になっている。
そのそれぞれで、横文字の名前の人の思想が紹介されていくのだけど、紙幅に対して紹介される人数が多すぎる。確かにこの著者の方は「物知り」なんだろうなぁということはよく伝わってくる。

しかし、理解度の観点からすると、少なくともこの本を読む限りだと低いのだろうなぁと取られても仕方がない感じになっている。

というのも、そもそも政治というのは何か、という定義については一切語られておらず、そればかりか、章題の1.自由・2.民主主義・3.差異と平等・4.共同体・5.対立という、5つの項目同士の関係についても語られていないからだ。

 

この本はまとまっていない図鑑

これは生き物図鑑に例えると分かりやすい。
この本は、確かに、多くの生き物の名前や写真、生態について書いてあるし、種類も多いことは確かだけど、カテゴリ化ができていない。
だから、脊椎動物と軟体動物の違いも説明されていなければ、鳥類と哺乳類の違いも説明されておらず、果ては、魚類と両生類の違いも説明されていない。

説明されていないだけならいざしらず、コウモリの横にサルの写真があったり、カニの横にクモの写真を貼っていたり、サンショウウオの横にマグロの生態が書いてあったりする。

このような図鑑は、読んでいる方は混乱するばかりで、確かに「物知りになったような気にはなれる」が、生物について「理解することはできない」のだ。だから、途中で投げ出したくなるし、ある程度知っている人なら参考になるかもしれないという程度にしか評価できない。

 

どうしてそうなった?

このように言うと、「本を書くような学者さんが、そんな違いも分かっていないの?」と馬鹿にしたくなる気持ちもあるだろうが、そもそも、政治思想というのはかなり複雑で、経済と政治の境界も、政治と宗教の境界も、政治と暮らしの境界も、実際には定められていないし、これらの違いをハッキリと語れる人もほとんどいない。

このような状況であるからには、図鑑で言えば、鉱物と生物の違いすら、実は分かっていないのに、このうちの生物だけについて、カテゴリ分けしようということになる。ならば、混乱して意味が分からなくなるのは当然である。

だから、まずは、政治とは何か?ということを丁寧に定義する本でなければ、「はじめての政治哲学」というタイトルを冠することはできないだろう。しかし、それが一切ない。このために、読者に対して不親切極まりなく、少なくとも私には物知り自慢の本としか思えなかったし、その結果として読むのがつらくなったのだ。

 

hiratakeigo.hatenablog.com

 

『こんなにおもしろいファイナンシャルプランナーの仕事』を読んで

読む価値はあるか

最近テレビでファイナンシャルプランナーという人をよく見かけるようになったので読んでみた。

この本自体は、図書館で借りたのだけど、申し訳ないが1500円の価値はない。情報量が少なすぎる。

ただ、内容としては大げさな部分が少なく、露骨な宣伝臭もなく悪い本ではないと思う。

ファイナンシャルプランナーとして独立したい人、あるいはファイナンシャルプランナーの資格を取りたい人には役に立つ本と思う。

 

ファイナンシャルプランナーとは何か

まず、ファイナンシャルプランナーは、お金の専門家ということで、お金目線でのライフプラン作成が本業であるようだ。しかし、普通に考えていただければわかるように、そんなことは誰でも自分でやるものなので、基本的には、大して仕事はないと言える。

しかし、家や不動産や高額な新車を買う、保険を選ぶ、株式など証券で資産を運用する、ということになれば、このときばかりは、ファイナンシャルプランナーに相談を受けたほうがいいかもしれない。知らない人がハマりやすいのは、複利計算と単利計算の雪だるま額の違いだろうけど、たぶんそういったことも説明してくれるのだろう。

これらのことから、不動産屋、法律関係、保険営業、金融関係などの付随としてこの肩書や知識があると役に立つくらいと思われる。また、実際にそうであるみたいだ。

 

ファイナンシャルプランナーの欠点

とはいえ、ファイナンシャルプランナーの致命的な欠点は、「収入が安定していて、常識的に収入が増えていけば」という前提のもとにしか話ができないことである。今の時代は、前提が覆ることが当たり前の時代だから、そういった意味では役に立たないであろうと思う。

 

ファイナンシャルプランナーの顧客(笑)

 参考までに、この著者の方の相談料は一時間15000円、顧問となると1ヶ月50000円だそうだ。平均額は、相談料一時間6800円、顧問は1ヶ月15000円だそうである。

こんな高額な相談料を払っていては、本末転倒だ。いったいどんな人が顧問契約するのだろう?と思うのだが、この著者の方の顧客は、「偶然にも」会社経営者が多いらしい。

それで、考えてみると、この情報からわかる顧客像は、とある有名なアニメのテーマソングに登場してくる。赤塚不二夫が原作で、息子が主人公のはずがパパが主人公になってしまっているアレである。

 

声を出して歌うと笑えて元気が出るので、是非とも実際に歌っていただきたい。

 

これで~いいのだ~♪
これで~いいのだ~♪

フンフン フフフン フフ フンフン


これはわざとなのか?(笑)
メロディも合わせて、このテーマソングを考えた人はすごいセンスだと思う。

 

本を読んでファイナンシャルプランナーの仕事をもっと詳しく知る

 

hiratakeigo.hatenablog.com

 

漢籍の読み方

何事も基本が大事です。ですが、人は、その性質上「簡単なこと」である基本をあなどってしまいます。あなどれば怠り、怠ればいつか失敗し、結局は行き詰まることなるでしょう。

ですので、ここで漢籍を読む基本、「書き下し文」について説明します。これから漢籍を読んでみようという方も、もう漢籍には十分親しんでいる方も、基本をあなどらず、この記事を読んでみてください。

漢文をさらに楽しく読んでいただけるはずです。

 

1.書き下し文とは何か

書き下し文がどういったものか、という根本的なことについて説明しています。 

hiratakeigo.hatenablog.com

 

2.なぜ書き下し文があるのか

なぜ、売られている本や学校で習う授業に書き下し文があるのか、日本の歴史を紐解くことで解説します。 

hiratakeigo.hatenablog.com

 

3.書き下し文は読まなくてもいいのか

書き下し文を読んだほうがいいかどうかについて、私の意見が述べてあります。

hiratakeigo.hatenablog.com

 

4.書き下し文を読むのは脳トレ

書き下し文を読むということは、古典の知恵に触れながら、脳トレもするという一石二鳥の読書です。なぜ脳トレになるのかについて、特に説明してあります。

hiratakeigo.hatenablog.com

 

5.でも書き下し文が読めない

書き下し文を読むためには、ちょっとした心得が必要です。いわば、コツのようなものですが、そのコツについて書かれています。

hiratakeigo.hatenablog.com

 

6.漢和辞典を使おう「董卓戻礼」

漢文を読む時は、漢和辞典を使わなければなりません。上の例文は、漢文の世界ですぐに納得できる正しい文章です。どうして正しいのかについて解説があります。

hiratakeigo.hatenablog.com